私達がよく使う紙コップ。
コーヒーショップやコンビニで飲み物を買うと紙コップに入っています。
公営施設の公共施設の休憩スペースに設置されているドリンクコーナーにも置かれています。
そんな紙コップですが、注いだ熱湯を分析した研究では、紙コップでコーヒーやお茶を飲むと大量のマイクロプラスチックが飲料に溶け出すことが分かりました。

 

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マイクロプラスチックについて

プラスチックは石油を原料とした合成樹脂です。
紫外線を浴びると耐久性が下がり、外的要因で小さな破片となります。
そして、5mm以下からナノサイズまでになったものをマイクロプラスチックと呼んでいます。
プラスチック自体は有害物質を含むものです。
また、自然環境の中では存在しないものなので、マイクロプラスチックは、海を漂い海洋生物を傷つけるだけでなく、環境ホルモンなどの有害物質を海洋生物へ行き渡らせる運び屋になっています。

マイクロプラスチックの侵入ルート

2018年10月に、日本人含むボランティア被験者8人全員の糞便からマイクロプラスチック粒子が検出されたという調査結果が、オーストラリアで開催された胃腸病学会議で、胃腸病学者であるフィリップ・シュワブル氏より発表されました。

インド工科大学カラグプル校で環境工学を研究しているSudha Goel准教授らの研究チームは、紙コップに85~90度の熱湯を100ミリリットル注ぎ、15分間放置してその様子を蛍光顕微鏡で観察しました。
その結果、マイクロプラスチックが湯の中に放出され、ミクロンサイズのマイクロプラスチック粒子が100ミリリットル中に約25000個含まれていることが分かりました。
研究チームは、紙コップに飲み物を注いだ状況を再現する為、市販されている使い捨て紙コップを5種類収集しました
そのうちの4種類は高密度ポリエチレン(HDPE)グレードのプラスチックフィルムで内側がコーティングされたものでした。
Goel氏にょると、コーヒーやお茶を飲むのにかかる15分間でカップのプラスチック層が劣化し、25000個のミクロンサイズの粒子となって飲料中に放出される、という事でした。
紙コップの中の飲み物を走査型電子顕微鏡で観察した所、1ミクロンより小さいサブミクロンサイズのマイクロプラスチックは約102億個も入っていたことが分かりました。

それだけではなく、フィルムの劣化によりフッ化物・塩化物・硫酸塩・硝酸塩などのイオンが飲料に溶け込んだことも確認されています。
この実験には超純水が使用されており、これらの物質はほぼ確実に紙コップ由来と言えるでしょう。

Goel氏は「マイクロプラスチックはパラジウム・クロム・カドミウムなどの有害な重金属を運ぶ媒体として機能することが分かっており、長期間にわたり定期的に摂取すると、健康に深刻な影響を及ぼす可能性がある」と述べています。

市場調査会社IMARC Groupによると、2019年に世界で生産された紙コップの数は約2640億個にのぼるそうです。
生分解性プラスチックの普及を目指しているEcoLifeは「使い捨て紙コップには大きな需要があり、リサイクルもできないので森林伐採の原因となり、プラスチックを含んでいるため土中でも完全には分解されず、薄いプラスチックのフィルムが残ってしまう」と話しています。

インド工科大学カラグプル校の農業食品工学部長であるVirendra Tewari氏は、「プラスチック製の容器は環境に負荷を与えるので、紙コップに置き換えたが、今回の研究によりこうした対策を行う際には慎重な検討が必要だ」とコメントしました。

インドでは「Kulhar」と呼ばれる伝統的な粘土製の使い捨てコップが飲み物の販売などに使われています。
でも、紙コップの普及により都市部などでは使われなくなってきているそうです。

たとえマイクロプラスチックが体内に入ってきても消化されず腸を通過して体外に出てしまうなら人体に悪影響はない」と一部では言われています。
でも、今後マイクロプラスチックが増え続けることによって、マイクロプラスチックに吸着した環境ホルモン等の有害物質が、健康被害となる可能性が出てくるのではと懸念されています。

 

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環境ホルモンとは

本来ヒトのホルモンと構造の一部が似たかたちをもつ化学物質です。
ホルモンによる信号を受け取る器官である『受容体』に、まるでホルモンのように結合します。
そしてホルモンのバランスを崩し、からだの健康を保つ働きを邪魔して生殖機能・甲状腺機能・脳神経などに重大な影響を及ぼします。
内分泌系に作用する為『内分泌かく乱物質』とも呼ばれています。

人体への影響

環境庁がリストアップした環境ホルモンは70種類あります。
プラスチックそのものとマイクロプラスチックに吸着した環境ホルモンによる人への影響は明らかにはなってはいませんが、ヒトの細胞の室内実験では影響があるという研究結果がでています。

○女性:乳がん・子宮内膜症の増加
プラスチックから溶け出したノニルフェノールによって乳がん細胞が増殖します

○男性:生殖機能低下
精子数の減少・精子の濃度が低下します

○胎児:発育異常・知能への影響
環境ホルモンは発育初期に大きく関係するため、海(水)中に残留したPCB(ポリ塩化ビフェニル) は知能への影響があるといわれています。

 

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