皆さんはビーガンって聞いた事がありますか?
ビーガンとは完全菜食主義者です。

ビーガン人口がここ近年急増しています。
果たしてこれって体に良いのか悪いのか、そう思ったことのある人も多いのではないでしょうか?

今回はそのビーガンを栄養という観点からとらえていきたいと思います。

 

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急増しているビーガン人口

肉を食べない人を「菜食主義者」(ベジタリアン)と呼びます。
卵やチーズ、魚などを含む動物由来のものを一切口にしない人は「ビーガン」と呼ばれています。
日本語では「絶対菜食主義者」または「完全菜食主義者」などと表現されています。

英国ではビーガンになる人が急増していますが、健康のためには勧められないという事です。

英ビーガン協会によると、ビーガン人口は2018年、英国の総人口の1.16%に相当する60万人になりました。
うち42%は2018年に完全菜食主義に切り替えた人です。

英国では2018年、世界中のどこよりも多くのビーガン向け新商品が発売されたそうです。
米国でも、ビーガン人口は2017年に1960万人となり、2014年から600%増加しました。

 

ホールフーズCEOの衝撃発言

最近、ビーガンにとって衝撃的な発言がありました。

大豆などで作った「ベジタリアン・ミート」(ベジミート)は、「環境にはいいけど体には悪い」と「ホールフーズ」のトップが発言したのです。
ホールフーズは、自然食品やベジタリアン食品などを扱う大手スーパーです。
全米で展開する他、カナダや英国にも進出しています。
最高経営責任者のジョン・マッキー氏は、20年にわたりビーガンを貫いています。

 

米国のビジネス専門ニュースチャンネルCNBCの中でミレニアル世代を対象としたサイトCNBC Make Itとのインタビューで、マッキー氏は、「かなり加工された食品を食べることが健康的だと私は思わない。無加工の食物を食べることで人は健康になるんだと思う」と述べました。
ベジミートについては、「健康のためには勧めない」と発言したのです。
大変人気になっているベジミートですが、「原材料を見ると、とにかくものすごく加工されている」と指摘しています。
CNBC Make Itによると、別の栄養士もベジミートについて「必ずしもビーフよりも健康的というわけではない」と話したという事です。

 

脳に必須の「コリン」をめぐる議論

8月末、英ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル系列の医学誌「栄養、予防&健康」(電子版)に、エマ・ダービーシャー博士が「ビーガン食では脳が必要とする栄養素を十分補えない」という主旨の論文を発表しました。

博士は英国で栄養や健康に関するコンサルタント業を営んでいます。
ダービーシャー博士によると、コリンは神経伝達物質合成や細胞構造などに必須の栄養素で、肝臓で作られてはいるものの十分ではなく、食物として摂取して補う必要があるという事です。

コリンが不足すると、肝臓病や神経系の病気になる可能性があります。
妊婦がコリン不足になった場合、胎児の認知機能に障害が出る可能性もあります。

英国では食事ガイドラインなどにコリンを含めておらず、なぜコリンの重要性がこれほどまでに見過ごされてきたのか、と同博士は英国政府の対応に疑問を投げかけています。

 

論文によると、一般的に牛肉や卵、魚、鶏肉、ナッツ、牛乳、そしてブロッコリーなどのアブラナ系の野菜にコリンが含まれているとされています。
しかし含有量を表したグラフを見ると、牛のレバー、卵、牛のステーキ、鮭などに多く含まれ、全体的に植物性食物よりも動物性食物に多く含まれているのが分かります。

 

しかしビーガン協会は、ダービーシャー博士のこの論文を受けて声明を発表し、同博士の主張を完全否定しました。
英国栄養士協会が発表した「ビーガンや植物由来の食生活で十分(コリンの)必要要件を満たすことができる」という言葉を引用し、妊婦や子どもを含む誰にとっても、ビーガン食は健康的な生活を支援するものだと主張しています。

「コリンは大豆やキヌア、ブロッコリーなど植物由来の食物に広く含まれている」というビーガン協会の栄養士ヘザー・ラッセル氏の見解を紹介しています。
ラッセル氏は、「完全菜食主義に切り替えた場合でも、あまり加工されていない食物をバランス良く食べれば、コリンのサプリメントを飲む必要などない」と同協会に話しています。

 

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ビーガン食だけの学校給食

ニュージャージー州ジャージーシティーにある保育園スカンジナビア・スクールは、1~6歳の園児の給食にビーガン食しか出しません。
園児が食べるのはきのこのラザニアや味噌スープです。

 

これで栄養は足りるのか心配ですね。
専門知識を持つ保護者や教師がしっかり目配りしない限り、ビーガンの子供は栄養不足に陥り、発育不良になりかねません。
アメリカ小児科学会(AAP)のウェブサイトには「乳製品と卵なしに栄養バランスを取るのは非常に難しい」と書かれています。
栄養バランスが取れていても、ビーガンの子供は肉も食べる子供に比べて、やや小柄になりがちです。

ビーガンの食生活はカロリー不足の傾向があります。
ブリュッセル・フリーイェ大学などのグループが2014年に行った研究によると、ビーガンを実践している人の摂取カロリーは乳製品や卵を食べるベジタリアンよりも12%、肉食よりも20%少なかったそうです。
活動量の多い子供が十分にカロリーを取れないと、成長と発達の妨げになります。

 

たんぱく質の問題

もう1つの大きな問題はタンパク質です。
米国立衛生研究所(NIH)によると、タンパク質は「細胞や器官の構造と機能と調整に欠かせない」ので、子供は十分な量を取ることが必要なのです。
タンパク質を構成するアミノ酸の中でも、「必須アミノ酸」は私たちの生存に欠かせない物質ですが、人体内では生成できません。
肉や魚や卵には全ての必須アミノ酸が含まれていますが、植物由来の食品の多くには完全に欠如しているか、含まれていてもごく微量になります。

ビタミンB12も重要です。
肉や乳製品、卵と違い、野菜や果物にはこのビタミンが豊富に含まれていません。

そのためビーガンの子供はビタミンB12が不足しやすく、いずれ貧血や深刻な神経障害を引き起こしかねません。
米国臨床栄養学ジャーナルに掲載された論文によると、6歳までビタミンB12が不足気味だった子供は、10代に入ってから抽象的・論理的思考、空間認識能力、短期記憶に問題が生じる確率が高かったそうです。
また乳児の頃に著しくB12が不足していると、脳の成長不良や発達障害の引き金にもなります。

脳の成長に重要な鉄分と脂肪も、十分に摂取するのが難しいです。
植物性食品に含まれる鉄分は非ヘム鉄といい、肉や魚に含まれるヘム鉄よりも身体に吸収されにくいのです。
鉄欠乏性貧血の子供は、長期にわたり知能や情緒の発達障害を負いかねなません。

脂肪も不足している

また脂肪も不足しがちです。
青魚などに多く含まれるオメガ3脂肪酸も、脳の発達には重要です。

アメリカ人はカルシウムの70%以上を乳製品から取っています。
幼児期にカルシウムとビタミンDが不足すると骨密度が低下し、生涯の骨折リスクが高くなります。

ビーガンは肉食に比べ、カルシウム摂取量が40%少なく、緑黄色野菜などに含まれるシュウ酸は、カルシウムの吸収を妨げてしまいます。

 

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