我々はプラスチック時代に生きています。
しかし多くの問題が起きています。
解決方法はいたって簡単なのですが...
アメリカ人映画監督兼、写真家のクリス・ジョーダンは、
この問題に対して、血の通った人間としての理解をすることが大切であると考えています。
このクリス・ジョーダンの有名なアホウドリの写真は、
私たちに大きな警鐘を鳴らしています。
そしてこの地球という惑星が危機的状況にあることも。
環境問題に関する映画を製作する中で、クリス・ジョーダンは画家・ピカソのアプローチで臨んでいます。
「画家の役割とは、人と絵画をより深く繋げること。しかし、その後その人がどう行動するかはその人次第。」
通常の環境映画では、映画の終わりに対策を示してくれるのですが、
クリス・ジョーダンはそれをあえてしませんでした。
その代わり、なんとも悲惨な状況のアホウドリの写真を映し出したのです。
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アホウドリの中からたくさんのゴミが
An albatross chick found on Midway Island. Photo: Chris Jordan
一人一人の努力も大切なのですが、
みんなが一緒になって行動することがもっと大切なのです。
2009年にクリス・ジョーダンがミッドウェイを訪れた時に、
アホウドリたちは確かに波の上を気持ちよさそうに飛んでいたのです。
でも、彼らの中にあったものは計り知れないものでした。
それを見た時に、クリスは大きな絶望と怒り、
そしてこれからどうやって希望を持てばよいのかが分からなくなったということです。
アメリカ合衆国魚類野生生物局の生物学者、ベス・フリントによると、
ミッドウェイでのアホウドリに対する最大の脅威は気温の上昇と嵐の増加だといいます。
しかし、ミッドウェイに生息するほとんどすべてのアホウドリの中から、
プラスチックが発見されるのです。
北西のハワイ諸島で生物の生態を研究する科学者らによると、
89%の大人のアホウドリの中からプラスチックが発見されたとのことです。
クリス・ジョーダンがこの映画を作る目的
この映画の中でクリス・ジョーダンはプラスチックが地球上のどこにでも見つかる現状を嘆いていますが、クリスはこれらのアホウドリは単なるプラスチック汚染ではなく、
我々人間と地球との壊れた関係を示していると主張しているのです。
そしてクリスがこの映画を作る目的は、
見る人と生きとし生ける生物との関係をもう一度築き上げることなのです。
この映画の製作中にクリスは母をがんで亡くしました。
そしてクリスは言います、
「愛するものを失った時に、悲しみは起こります。」
「しかしその悲しみのお陰で、私たちはより多くを感じることができ、知恵の源泉へと帰っていくことができるのです。」
クリスは以前からこのアホウドリという神秘の鳥に魅了されていました。
実はこのアホウドリというのは、軍事用のレーダーにも映らないのです。
主に人間のいない地域に生息するこの鳥は、壮大な自然そのものです。
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レベッカ・ホスキングの運動
2007年には、前・BBCカメラマンレベッカ・ホスキングが『波の中のメッセージ』という映画を撮りました。
これは自然保護に関するドキュメンタリー映画で、
サーファーと科学者がハワイの自然を一緒に守っていこうというテーマです。
その撮影の中で、レベッカも同じようなアホウドリの惨状を目にして心を痛めていたのです。
この撮影から戻るとすぐに、レベッカはイギリスのモドベリーという街を、
イギリスで最初の「プラスチックのない街」にするためのキャンペーンを行いました。
レベッカによると、まだまだプラスチックをなくすことは、遠い道のりであると言っています。
そして、確かに反対意見的なものもあるようです。
例えば、自然保護に関する映画というのは1970年以降たくさん作られてきているのに、
あまり改善しないのではないかといった意見です。
しかし、レベッカはこれに対して、もっと人の心に訴えるものを作る必要があると言っています。
そうすれば人はもっと動くようになるはずだと。
レベッカは次のように言いました、
「ミッドウェイはかつて、アメリカ空軍の駐屯地でした。
そして今は、たくさんのアホウドリの死骸が落ちていて、戦後の焼け野原のような感じです。
現在、その戦争はプラスチック戦争となっています。
そしてこのアホウドリの死骸は、最前線で戦った死傷者なのです。」
悲しき餌やりの現状
映画の中で、最も痛ましいシーンがあります。
親鳥は自分の子供たちに餌を取ってきて与えようとします。
親鳥たちは自分の可愛い子供たちに餌を与えるために、どこまでも飛んでいって餌を取ってきます。
そのような大きな努力をして取ってきた餌が、有害なプラスチックなのです。
親鳥たちはイカやタコだと勘違いして取ってきたプラスチックを、
自分の子供たちに間違って与えてしまうのです。
また、レベッカはさらに痛ましいシーンを回想しました。
科学者たちが、鳥の中から取り出したボトルのフタ、ライター、おもちゃ、
歯ブラシ、魚の形をした醤油入れなどを見せてくれたのです。
また、別な鳥はプリンターのインクカートリッジまで飲み込んでいたそうです。
まとめ
クリス・ジョーダンは映画を通してみんなに気付いてほしいのです。
そしてその気付きが起きるところは、
我々の心の中にある『愛』の部分なのだそうです。
愛があるから、悲しみや嘆きを感じることができるのです。
だから、愛を感じることによって、
人はもっと勇敢になって大きな変革を起こすことができるのです。
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